ノミ・マダニ予防について
気温が高くなり過ごしやすい季節になりましたね。しかし、同時にノミやマダニといった寄生虫たちの活動も活発になってきます。
ノミやマダニはわんちゃん、ねこちゃんに貧血や痒みを引き起こすだけではなく、人にも危害を加えます。
今回はノミ・マダニについて少し詳しく説明いたします。
~ノミのライフサイクル~
ノミには主にイヌノミとネコノミがいて、わんちゃん、ねこちゃんに寄生する多くはネコノミです。
ネコノミは体長約1~3㎜で平たく、褐色をしています。卵、幼虫、さなぎ、成虫という発育段階を経て成長していきます。一度わんちゃんねこちゃんに成虫が寄生すると、直ちに吸血し、1~2日以内に体表で産卵します。ノミがわんちゃんねこちゃんの体表で生活する期間は長くはないですが、多くは周辺の飼育環境にいるため注意が必要です。
~ノミによって引き起こされる病気~
○ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの吸血時に体内に入る唾液成分によるアレルギー反応です。強い痒みを伴う皮膚炎が起こります。
○瓜実条虫
ノミの幼虫が条虫の卵を食べ、体内で発育します。条虫をもったノミの成虫を飲み込むことで、小腸に寄生し、犬・猫は下痢や体重減少などの症状を引き起こします。この虫は最大50cmくらいまで成長し、白い米粒の様な条虫の片節が便や肛門周囲に付着しているのを発見し、寄生に気付きます。
○貧血
ノミの大量寄生によりおこります。仔犬、仔猫では特に注意が必要です。
○人への病害
ノミが媒介するバルトネラ菌が、猫のツメや口腔内を経由して、人が猫に引っかかれたり、咬まれたりすることで感染する猫引っかき病という病気は、リンパ節の炎症や発熱を引き起こします。この他、人もノミ刺咬症、瓜実条虫症に注意が必要です。
~マダニのライフサイクル~
マダニは8本脚からなる節足動物で、クモやサソリに近い生物です。マダニの栄養源は、動物の血液で、幼ダニ・若ダニは発育・脱皮のため、成ダニは産卵のために吸血します。。一生の中で吸血する期間は約20~25日間といわれ、その他の期間は脱皮、産卵、動物への寄生する機会を待つことをしながら自然環境のなかで生活しています。また、吸血の際に、原虫、ウイルス、リケッチア、細菌などさまざまな病原体のベクター(媒介者)となることがあります。
~マダニによって引き起こされる病気~
○貧血
重度な寄生により貧血、さら栄養障害、発育障害を引き起こします。
○媒介性疾患
バベシア症(原虫)、ライム病(細菌)、リケッチアなど。
バベシアは赤血球内に寄生する原虫で、貧血、発熱、黄疸がみられ、死に至る可能性も高い病気です。
○人への病害
バベシア症、日本紅斑熱、ライム病など。
最近では重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が話題になってますね。
SFTSは2011年に発表された新しいダニ媒介性のウイルス感染症です。発熱や食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が認められ、その他頭痛や筋肉痛、皮下出血や下血、リンパ節腫脹、意識障害などの神経症状などの症状を引き起こす事もあります。特異的な治療法はなく、とにかくダニに咬まれないようにすることです。
ノミ・マダニについてご理解いただけたでしょうか?動物病院で処方しているノミ・マダニの予防薬は駆除率が高く、安全性も高いので安心してお使いいただけます。ノミ・マダニの脅威から大切なご家族を守るために動物病院で相談してくださいね。
画像提供:バイエル薬品株式会社