腸重積の手術
今日は、先日腸重積の手術が2件重なったためわんちゃんの腸重積についてお話しさせていただきます。
まず腸重積について。
腸重積は腸管の一部がその隣の腸管の中に入り込んでしまう病気です。特に回腸と盲腸の接合部で起こることが多く、腸管内寄生虫、異物、腸炎、腫瘍など様々な原因で発生しますが、ほとんどの場合、原因がはっきりしないで突然起こる特発性であることが多いです。
臨床症状は嘔吐、腹痛、血便などです。
診断は触診での腹部の腫瘤、消化管造影、超音波検査によって行います。
そして、治療は外科手術によって重積した腸管を整復することになります。慢性経過をたどってしまった場合は、腸管が壊死してしまい、その部分を切除しなければならないこともあります。
さて、今回のわんちゃんは数日間の血便、食欲不振の症状で来院されました。
来院時、黒色のタール状便をしていました。
触診では腹部に太く硬いしこりのようなものが認められ、そこを触ると痛みもあるようでした。
そこで、超音波検査、レントゲン検査、血液検査などの精査を行ったところ、超音波検査で腸の中に腸が重なっているようにみえる部分が確認されました。
ということで腸重積が強く疑われたため、その日のうちに開腹手術となりました。
やはり回腸、盲腸接合部において腸管が入り込んでいるのが確認されたので整復を行いました。
今回の2匹のわんちゃんたちは腸の切除はせずに回復してくれました。2匹ともすぐに元気にご飯を食べ、いい便をしてくれるようになりました。
お家でみられる腸重積の症状は、他の疾患でもよくみられる症状です。うちの子には時々ある症状だとしばらく様子を見てしまい、気づいたときにはかなり状態が悪くなってしまっている場合も少なくありません。いつもより調子が悪いなと感じたら、なるべく早く動物病院に連れて行ってあげてくださいね。